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対話的日記 汝自身を知れという問いはどうなるのか

☆印が私の意見です。人間は都市的な動物とアリストテレスは言ったけれど、どちらの性に属するかと性別というものも根源的なものだと思う。アリストテレスには性別が自明なものであり、同性愛が容認されていた社会では疑問にならなかったのではないだろうか。

『男であれず、女になれない』(鈴木信平/小学館

 第23回小学館ノンフィクション大賞を紛糾させた異例の”自伝的ノンフィクション”『男であれず、女になれない』が、2017年3月27日(月)に発売される。

「想像してみてください」―この一言から、著者自身を取材した“自伝的ノンフィクション”である同書は始まる。「想像してみてください。あなたから性別を除いたとしたら、今のあなたをとりまく愛しいものは、どれだけ残りますか」と。

☆自明というものが崩れることは、驚きである。まさに、ここから哲学が始まらなければならない。どちらかの性に属することで、社会的な役割や他者からの期待が生まれて、自らもそれに応えることが始まるのだろう。

 2015年3月9日、当時36才。私は、男性器を摘出した。「女になった」と言わない理由は、この選択が女性になるためじゃなく、自分になるためのものだったから。だから私は、豊胸も造膣もしないことを選んだ。「性同一性障害」という言葉が浸透して、「性はグラデーション。この世は単純に男と女には分けられない」と多くの人が理解する時代にはなったかもしれない。けれども私は自分の性別を、男にも、女にも、二つのグラデーションの中にも見つけることができなかった。

☆男性器https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B7%E6%80%A7%E5%99%A8

☆どちらかの区分ではなく、どちらの区分からも超越する道を選んだということだろうか。年齢によっても性が違てくる。たまたま、西洋人の中年の女性を近くで見たことがあるが、私の鬚よりも濃いひげをしていた。骨格とか日本の男性よりも男性的に見えた。ホルモンバランスもさまざまなのだろう。

☆オリゲネスという古代の哲学者は性欲が学問の邪魔になると自ら去勢したが、後になってあれは他人には勧められないというようなことを言ったらしい。性の悩みを背負いながら生きることを勧めているように思う。私の友人の話によると、きわめて男性的な思考の持ち主だったらしい。

 第23回小学館ノンフィクション大賞の選考会では、同書はノンフィクションなのか、第三者への取材を行なうべきではないか、といった様々な意見が噴出。しかし選考委員の感想に共通したのは、「それでも、この作品は面白い」というただ1つだった。

☆自分を肯定したうえで、人間としての自分自身をどのように理解して言うのであろうか。男や女を辞めたとしても、人間であることを辞めたわけではない。司馬遷は男気を出して皇帝にご意見し、処刑されるところを、去勢されるという刑に代えられて、史記を書き上げる。

「マイノリティの苦悩や孤独をここまで言語化できた作品はない」ノンフィクション作家・高野秀行

☆孤独とは何だろう。

「とても胸打たれた。さまざまな『生きにくさ』を感じるひとにとって普遍的な作品」作家・三浦しをん

☆生きにくさの思想か。

私小説として発表されるべき。しかし、“自分を題材としたノンフィクション”という目新しさが面白い」社会学者・古市憲寿

☆かなり主観的な面が多いのではないか、どこまで事実に即しているのか疑問があるような言葉だ。

 同書は、人生に同性も異性も見つけることが出来なかった著者が、巡り合う人たちの愛情を受けながら自らの“性”を探し続ける、ある種の冒険記だ。性に由来するすべての幸せと決別し、男であれず女になれない心と体を選んだ人生の現時点でのまとめであり、多くの“マイノリティ”の心の支えとなるはずだ。

安冨歩氏のような人の意見を何故聞かないのだろうか。鈴木氏はどのような衣服を着ているのか気になるところである。

鈴木信平(すずき・しんぺい)

1978年4月24日、愛知県生まれ。会社員。2002年に立正大学社会福祉学部卒業後、俳優養成所レッスン生、広告代理店、コールセンター勤務などを経て、現在、株式会社ブックリスタ勤務。高校在学中の17才頃から自身の性別に疑問を覚え、大学卒業後、23才を迎える頃には性の不一致を自覚。同性愛、性同一性障害など、既存のセクシャルマイノリティへ自らの居場所を求めるも適応には至らなかった。ホルモン摂取、豊胸、造膣などいずれの女性化も求めることなく、2015年3月、36才で男性器を摘出する。今作が処女作。

※掲載内容は変更になる場合があります。

“男”であることをやめたが“女”にはならなかった―。「性」をめぐる異例の“自伝的ノンフィクション”