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妻と喧嘩した

原因は本当に些細な事。

最初は小さかった雪の固まりが、転がるうちにみるみる大きくなるように、僕たちは徐々にきつく言い合った。

僕は切れて黙り妻を無視する。

妻はその態度が気に入らず、泣きながら訥々と怒りを僕にぶつけてくる。

あきらめたのか、しばらくしたら洗面所に行き出かける支度を始める。

僕はテレビをつけてぼんやり昼のニュースを眺める。

妻がリビングに戻ってきた。

「ごめんなさい。俺にも確かに悪いところがあった。」

と頭を下げる。

妻は驚いた顔で、

「どうしたの?急に、気持ち悪い」

と泣き笑い。

「いや、おまえの気持ちを考えると、俺も悪かったかな……」

と話しているうちに涙が溢れてくる。

「あれ?何で俺泣いてるんだ?」

自分でも驚いた。

「仕事で大変なお前の事を考えると、俺の話の聞き方は悪かったって……」

なんか涙声だし、考えるより先に言葉が溢れてくる。

「え?なに?なに?何で泣いてるのよ。」

妻も泣きながら戸惑っている。

リビングの空気が一気に柔らかく温かくなった。

誰かが僕に憑依したみたいだったなあ。

でも、自分から折れて良かったと思う。

悔しいという気持ちはなく、清々しかった。

不思議な体験だった。

謝るってちょっと勇気がいるけど、今日は謝って良かった。

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